2016年3月21日月曜日

ショーンKは結局何だったんだ?



巷でショーンK氏がこてこての日本人であったこと、輝かしい経歴や学歴が全部ウソであったこと等々が取り上げられている。




私はテレビをほとんど見ないので、川上さんのことはよく知らなかった。
ただ何かでベラボーな学歴のコメンテーターがいるという紹介記事を読んだことはあって、「こんなド秀才がなんでこんなことやってるんだろう?」と思った覚えがある。

アメリカ人は我々とは価値観が違うんだろう、でもこれだけ学歴があったらテレビなんか出てないで本業に精を出した方が儲かるだろうに、と思って見ていた。

今回、いろんなことがバレてあちこちで顔を見て「あの人か!」と思い出した。それぐらい、忘れていた。


川上さんが喋っている英語も少し聞いてみたけど、本当に上手だ。
元々声優やナレーターをしていただけあって、声も良い。
整形で彫りの深い西洋風の顔になってるから、ハーフと言われても違和感もない。

それ以上にすごいのは、「ショーンK」としての雰囲気だと思う。
人間は本能的にその人の背景や生活状態を雰囲気で感じ取る生き物で、責任ある立場の人には相応の雰囲気(オーラ)がある。
営業マンが、そういうオーラを無意識に嗅ぎ分けている場面を何度も見た。
肩書きがあってもオーラがないと、相応にきな臭い背景を持ってることがあるから本能的に避けようとするのだ。

川上さんは「ショーンK」を自分で作り上げた。雰囲気まで含めて。
映画の「太陽がいっぱい」を思い出す。
ある意味この人は天性の俳優なんだと思う。


ウソの肩書きで視聴者をだました以外のことをしていたのかどうか、わからないけど、具体的なことはあまり聞かない。
要はテレビでコメントするには倫理的に問題があるから自粛しましょうね、ということみたい。

コンサルタントとしてウソの経歴でお客さんを呼び寄せ顧客に大損させたとか、信用させて違法なビジネスに出資させたとか、よくある詐欺の罪を働いていればそれは大問題だ。
ただ、公共の電波を使ったテレビやラジオでウソの経歴を詐称したことだけが罪なのであれば、そこまで大騒ぎすることかなぁとも思う。
だいたいテレビ自体が虚飾の世界だし。

開き直って「コテコテの日本人なのにハーフとして振る舞い、行きもしない大学を卒業して学位を取った振りをしているショーンK」という芸人コメンテーターとして生きれば良い。


もっとも自身のウェブサイトを「β版だった」とか言ってた辺り、そう正直な人でもないんだろう。
ショーンKとして何をしたかったのか、その辺を復帰後に語ってほしいな。
リアル・トム・リプリーの口からどんな話が出て来るのか楽しみだ。言わないだろうが。



太陽がいっぱい 最新デジタル・リマスター版 [DVD]
アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」。フランス映画ってこういうもんよ、と若い頃映画ばっかり見ていたという母親が語っていた。子供だったからよくわからんかったが。

リプリー(字幕版)
マット・デイモンが主演した「太陽がいっぱい」のリメイク版。これは劇場で見た。最初はおずおずと気弱そうな様子だったマット・デイモン演ずるトム・リプリーが、だんだん自信に満ちた振る舞いになり、歩く後ろ姿まで変わったのが印象的だった。フランスっぽい皮肉さはないけどね。