2016年3月13日日曜日

お化けなんかいない(5)オカルト



お化けをテーマに書き出してネタが尽きないことに驚いている。
お化けはいないと決めつけているから、話のネタ以外には自分からお化けの話をすることはないんだけど思い出し始めると次から次へと浮かぶ。(昔取った杵柄ってこのことだな。)




思うに、不思議な話というのは、理由がわからないから不思議なのだ。
以前、私の友達が行ってない場所で目撃されたという話を書いたが、これも本当の所は誰にもわからない。

この話を聞いた人が「それはM美さんの生霊で、生霊を見たお客さんがマスターに伝えたに違いない」と分析していた。(当のM美は「私は生霊か!」と怒っていたが)
でも、そこまでいくと、オカルトになる。

オカルトになると一気に興ざめするし、陳腐になってしまう。
実際、不思議な話を分析することなど出来ない。
「なんでかなぁ、変な話だなぁ」と思うのくらいで丁度いいのだ。


仕事をしていると、時々階段を登る音がする。
誰が上り下りしているか、大抵は足音でわかる。
部屋のどこに誰が居るか常に頭に置いているので、部屋に居ない人が足音の主だ。
誰でも入れる仕事場なので、関係者以外立ち入り禁止の場所に間違ってお客さんが入らないように気にかけていないといけない。ずっと見張っている訳にも行かないので、たいてい他事をしながら足音で聞き分けている。

その足音の主が不明なことが時々ある。
スタッフは全員揃っている。部外者も居ない。なのに階段の音がする。
誰かな?と思って見に行くと誰もいない。
私は「空耳か何かだろうな」と思って自分の中で処理してしまう。
でも「霊だ」と言ってる人も居る。
不思議な話とオカルトの分かれ道ってその辺りなんだろうと思う。



私の友達のアイちゃんは、旅行に行くと時々ホテルの部屋に「引っかかる」そうだ。
ロビーでも廊下でも何ともなかったのに、部屋に入ると「冷房が効いてるのか」と思うくらい寒くてたまらないときがあるらしい。

同室の人は何ともないから、寒いのはアイちゃんだけ。
あまり我慢出来ないと部屋を替えてもらうけど、可能な限りは我慢するそうだ。
同室の人が外出する時は、一人でロビーに居るらしい。

「寒いってどんな感じなの?」と聞くと「冷房でガンガン冷やした部屋に居るみたい。その時によるけど、体の半分だけ震えが止まらないこともある」と言っていた。
別に何を見る訳でもないし、彼女自身も「理由はわからないけど、寒いから困る。時々あるから、あぁまたかと思う」と言っていた。
彼女にとって、それは「原因不明の変な話」なのだ。



私の周囲にいる「変な話の経験者」は大抵「理由はわからん」と言う。
理由なんかわかるわけない。
わからないから不思議なんだ。

「生きてる人間の方が余程恐い」とも言いますから。