2016年3月30日水曜日

高い呑み屋は無駄か



私はお酒を飲まないが、私の周りには飲む人が多い。
単にお酒を飲むこと自体が楽しいというより、「宴が楽しい」という人もいる。
お酒の楽しみ方は人それぞれだ。



家でコップ酒を楽しむ人もいれば、馴染みの呑み屋さんで話をしながら飲むのが好きだという人もいる。ネットワークを広げるために新しい店を開拓したり、お店ごとの出し方の違いを楽しむ人もいる。

お酒の数と同じくらい、呑み屋さんにも個性があるし、飲み方も人それぞれだ。


私が住んでいる都市には大きな繁華街があるせいか、呑み屋さんがたくさんある。
純粋にお酒を飲ませるだけではないお店も多いが、お酒に特化したお店も多い。
お酒に特化したお店は、オーナーごとにお酒に対するポリシーがあって、お酒を通じてお客さんとコミュニケーションを取る、いわば社交の場でもある。
お酒自体も高価な物が揃っているし、技術レベルも高いので、当然値段は高い。
それだけのお金を払ってもお客さんが「行って良かった」と思うだけのものを提供しているという事実とお客さんからの信頼がバランスよく揃うから、呑み屋さんは成り立っているのだと思う。

私の住まう都市はケチで有名なだけあって、価値のないものには一切お金を出さないという人は多い。
ただ、それだけに価値のある物には出し惜しみしない所もあって、お値段以上のサービスを提供出来るお店であれば何度でも通うし、「高い」とも思わない。
表面上おしゃれなだけとか珍しいだけのお店はすぐに消えてしまうわりに、オーソドックスなお店は残る。
残ったお店はお客さんの投資によって育てられ、変化しながら、味わい深くなっていく、のが当り前だと思っていたら、この前「それは違うかもしれない」という出来事に遭遇した。


おしゃれなイメージが強い都市から来た仕事関係者が飲む人なので、おすすめの呑み屋さんに誘った人が居た。
その前に行ったお料理屋さんは安くて美味しくてたっぷり食べさせてもらえるので満足してもらえたらしいが、次に誘った高級な呑み屋さんには行きたくないと言う。

決して高いだけのお店ではないし、ごちそうするし、オーナーもよく知っているから間違いない、と丁寧に説明しても嫌だと言う。
新幹線で通う人もいるくらいのお店なのに何が嫌なのかと思って聞いたら「呑み屋さんに高いお金を払う価値観がない」と言われたそうだ。

お酒というのは飲めれば良いんだから、安いほど良い。高いお店で飲む価値観がそもそもない。どこでも良いから安いお店で飲むのが自分の住む土地では普通なのだと言われたらしい。

決して世間を知らない人ではなく、高給取りの接待も当り前にしていた人だ。
ケチって言っている訳ではなく、本当にそうなんだろう、と居合わせた人は言っていた。


ものの見方は人それぞれ。
何を無駄と思うかも人それぞれだけど、土地によってこうも違うものなんだなぁと驚いた。