2016年3月9日水曜日

物と生活


部屋を見るとその人の性格がわかると言う。

落ち込んでいるという友達の家に遊びにいったら、元気だけれども部屋は散らかっていた。
元々、几帳面というほどではないがそれなりに片付いた生活をしていた人だ。落ち込んだ姿は見なかったが、片付けるだけの気力はないんだろうと察した。



うちの兄の部屋は凄まじいほどの汚部屋だが、落ちこむことはない。
小さい頃「僕は気にしないタイプです」と言ってた。汚い事が気にならない性格らしい。
うず高く積まれた物に囲まれながらも、どこに何があるかは把握していて、何かを貸してもらいに行くと、物の山の下から引っ張り出して「はい」とわたしてくれた。
山が崩れても知らん顔なので、あれはああいう性格なんだろう。


父の実家は貧乏で、物がない為かいつもがらんとしていた。
祖母は寺で育ったので、掃除の仕方も寺院式で、どこもチリ一つなかった。
父の兄弟はみかん箱(昔は木製)で勉強したそうだが、私が子供の頃にも家具らしい家具はあまりなく、小さな棚とちゃぶ台とテレビ、祖父が座る為の椅子(力士並みに大柄だったので祖父のみ椅子に座った)、仏壇とタンスがあるくらい。
あとの物はろくに思い出せないから、多分なかったんだろう。


父の実家がそれなので、私の家も物を溜め込む習慣がなかった。
家具は母が揃えていったが、引っ越しが多い家でもあったから、「物を持たない」ことを是としていた。
父の部屋もやっぱりガランとしていて何もなく、中学の頃など父の居ない時間に勝手に入り込んで、倒立前転の練習が出来たくらいだった。


物を持つことは豊かさの象徴なのだろうが、どこに何があるかわからないと不便だしかえって不経済なので、あまり持たないようにしている。
このブログの表題を「本とか物とか」にしたくらい、本来は物が好きだから、お店はしょっちゅう覗いている。
物が好きなことと、所有物への管理能力は別ものだから、自分の能力以上のものは買わないようにしている。

大切なのは、物への興味と管理能力のバランスなんだろうな。