2016年3月3日木曜日
エムピウのブックカバー
本を読むときは、ブックカバーをつける。
一見同じように見える革のカバーでも、使ってみるとそれぞれ個性があることがわかる。
私が一番気に入っているのは、エムピウ のバッファロー革のカバーで、ブックカバー CLと名付けられたごくシンプルなもの。
最初のうちは、表面にロウが塗ってあるような白っぽい色をしている。
上の写真では折り返しの部分がまだ白っぽさを残している。全体がこんな感じだった。手で触っていくうちに、ツヤが出る。
自分の指が当たる場所の色が濃くなったり、本の大きさに応じた形に渕が丸みを帯びてきたり、というふうにゆっくりと変化していく。
エムピウのデザイナー、村上さんは元々建築家だそうで、発想が極めて立体的。
私はブックカバーの他にもエムピウの鞄を愛用している。
細やかな配慮がなされた作りで、よくある「平面の型紙通りに切って縫って貼って」という発想では作られていない。
構造上、厚ぼったくなるといけないところは革を少し削って薄くしてあるのだけれど、横から見ると削らることで出来るラインがきれいな曲線を描いていて、実に美しい。
実用性と造形美が両立している。
妥協しない美意識と、実用性を忘れないデザイナーとしての配慮を感じる。
そういう点も承知した上で、私がこのカバーで一番優れていると思う点は、感触。
バッファロー革がどういう性質を持つものなのか素人の私にはわからないが、カバーをした状態で本を持ってみると、感触が全然違う。
弾力のある柔らかさがあって、「ずーっと持っていたい」と思う。
エムピウのブックカバーはなるべく難しい本を読む時に使っている。
読む事に飽きてきてもカバーの手触りを味わっていたいがために、「もうちょっと読もうかな」という気持ちになるからだ。
私は色々と口うるさい人間だが、このブックカバーは文句なしのベスト。