2016年5月3日火曜日

映画「スカーフェイス」を見た



Amazonのプライムビデオで映画「スカーフェイス」を見た。
アル・パチーノ主演のマフィア映画で、いわゆるカルト映画と言われている部類のマニアックな映画だそうだ。



毎度おなじみプライムビデオなのでタダ。


スカーフェイス (字幕版)
私は偏頭痛持ちなので、頭が痛い時はまるで使い物にならない。
何も出来ないから、あまり体に負担のないことをする。
本を読んでるときもあるし、映画を見ているときもある。
今回は、映画を見た。


アル・パチーノのファンでも何でもないが、なんとなくプライムビデオのリストを見ていて「これだ」と思って見始めた。
スカーフェイス(Scarface)は、英語でギャングを意味するそうだが、この映画の中では主役のトニー(アル・パチーノ)の顔に傷(scar)があるから、ダブルミーニングでもある。

スーパー悲恋ミュージカルのファントムが好きなくせに、恋愛ものよりも、アクションとかマフィアとか、あまり頭を使わないで現実逃避できる映画が好きだ。(恋愛ものは疲れる)

機関銃を持ってるジャケットからこの映画はギャングものだと想像は出来たが、たいして内容も知らずに選んだ。
ジャケ買いは美意識の共感だから、案外成功率が高い。今回もそのクチ。


アル・パチーノが演じるトニーは、キューバからボートでアメリカに移って来た青年だ。持ち前の度胸で仕事を成し遂げ、暗黒街のトップに登り詰めて行く。

これは1983年の映画だが、この時期のアメリカ映画によくある「反共キーワード」がしばしば劇中のセリフに出てくる。
私はアメリカ映画は好きだが、こういう感覚は好きじゃない。
映画は娯楽であるべきで、政治的なプロパガンダを載せるのはおかしい。
娯楽に政治的な示唆をのせると、単純な視聴者だと無批判に教育されてしまう。
視聴者に対してフェアじゃないし、何より視聴者をバカにしているとも思う。
政治的な批判や啓蒙は、娯楽ではなく学問の場で行うべきだ。
この映画だけがそうではないから言ってもしかたがないけど、この点だけはいただけない。


それ以外はこの映画がなぜカルト扱いを受けるのかわからないくらい、よく出来た映画だと思う。
後半に行くにつれだんだん作りは荒くはなるけど、話の流れにご都合主義的な矛盾がある訳でもないし、豪勢で中味がない映画よりも、余程しっかり作られていると思う。

さすがにアル・パチーノは青年と呼ぶにはおっさん顔だけど、相手役のミシェル・ファイファーはきれいなだけじゃなくマフィアの情婦らしい倦怠感もいっぱいで良かった(この人は昔からきれいだけど今もきれい)。

豪邸の室内の装飾がえらく安っぽいが、この辺は予算の都合か。
もっともドリフのコントみたいでそれなりに楽しめた。


映画の冒頭で、トニーの顔の傷のことを聞かれる場面がある。
ハデな顔の傷の原因がまともな理由のはずがない、という前提で尋問されている。
私もトニー並みに賑やかな「お顔の傷」を持ってる人を知っている。
親しくはないから原因を聞いた事もないし、「子供の頃に切ったとかそんなんかな」と思っていたけど、この映画で「 ただの怪我の筈がない」みたいな感じで扱われていたので、はたと私の知り合いの顔の傷も刃傷沙汰だったんかいな…と思った。

まともな職業の人なんだけど、昔は違ったのかなぁ…。