2016年5月13日金曜日
無くて七癖
正式には「無くて七癖有って四十八癖」だそうだが(広辞苑)、「人には多かれ少なかれ癖がある」ことを「無くて七癖」と言う。
人は癖を指摘されるとたいてい否定するけど自分が気づかないだけで思わぬ癖があるものだ。
家族や親しい友達に対してはアンテナが休んでしまうせいか「あれはあの人の性格だ」で解決してしまうからなのか、誰がどんな癖を持っているのか気にしていないことが多い。
仕事関係者はシビアな話をすることもあるので、相手の一挙手一投足を見てタイミングを計ったりする。
そうやって細かく人を見ていると、思わぬ癖を発見してしまうことがある。
私の友人で仕事仲間のM美は、何かごまかして喋る時、小鼻がぷくっと膨らむ。 話の終盤に一度膨らむだけなので、気にしてみていないとわからない程度なのだが、興奮しているのかごまかし切れたと安堵したからなのか、必ず小鼻が膨らむ。「ふーん」と聞きながら「これはウソだな」と思って見ている。
「痛い所をつかれた」と思いながら話を聞いている時に一瞬片目を閉じる人もいる。この癖を持っている人は複数人知っている。
酸っぱいものを食べた時片目を閉じることがあるが、あんな感じで、一瞬目を細めるように片目を閉じる。
「こういう人がいて嫌だよねー」という世間話の最中に、「あの人もそうじゃないかな」と思う人を何気なく見ているとこの癖をやっている。心の中で「私もそうだ」と思っているんだろうなぁと思って見ている。
意外と大勢の人がやっているから、癖というより反射的な運動なのかもしれない。
物を端に置く癖がある人も知っている。
テーブルでも棚でもなんでも端にマグカップや湯のみを置いて、引っ掛けて落として割っている。「真ん中に置けば?」と言ったら「癖だから」と言う。
理屈ではわかっているけれど無意識に端に置いてしまうんだそうだ。
この癖の根拠はよくわからないが、真ん中に置く事への抵抗感がどこかにあるんだろうなぁと思って見ている。
自分のキープしておきたい物を人知れず隠しておくときに、必ず足もとの低い位置にしまい込む人、隅っこに押し込んでおく人等々、隠し場所にも癖がある。
この「自分専用の場所にキープする癖」はかなりの人に見られる。
まるっきりハムスターである。
癖のせいか本人は自分のパターンに気づいていないらしく、「あれどこへしまったっけ」と探し物をしている時に「ここだと思うよ」と見付けてあげると驚かれる。
意外と自覚していないんだなぁと思う。
他にも「お昼ごはんの8割はうどん」とか色々知っているけどここでは割愛する。
人間の行動をパターンで見ていくと、人間も動物なんだなぁとつくづく思う。