2016年5月14日土曜日
出口まで荷物をお持ちしますは必要か
先日、友達の誕生日プレゼントに革の定期入れを買った。
レジで包んでもらってお金を払い、もらって帰ろうとしたら「出口までお持ちします」と言われ、レジから入り口までの2メートルの間、300gあるかないかの荷物を持ってもらった。
私は、普段は東急ハンズとかロフトとかユニクロとか、「出口までお荷物をお持ちするサービス」のない店を利用する事が多い。
時々、何かの間違いで独立店舗で買い物をすると、この「出口までお荷物をお持ちするサービス」に遭遇する。
逆らってもしょうがないのでありがたく運んでいただくが、レジから出口までお店の人を従えて歩く数歩が、間が抜けてるやら気恥ずかしいやらで、好きになれない。
私も物販の仕事をしているし、お買い上げ商品を運ぶ事はあるが、大きかったり重かったりして、明らかにお客様が一人では運べないものを車まで運ぶ、いわゆるポーターサービスだ。
会社によっては「出口でお客様が見えなくなるまでお見送り」を社是としている所もあるし、それなりに良いサービスだとは思うけど、理解出来るのはその程度まで。
サービスに対する考え方は様々で、日本型のきめ細やかなサービスは海外から来た皆さんにも喜んでもらっているようだし、自分も海外に行くと日本のサービスは丁寧なんだなぁと感じる。
そういうきめ細やかな配慮の良さは否定しないし、世界に誇れるものだと思うのだけれど、「他の店がみんなやってるからうちもやらないと」というだけで、考えなしにサービスを取り入れるのはどうなんだろう?
それが過剰なサービス合戦を生み出し、利益を削って付加価値を付けざるを得なくなり、そのわりにそれが当り前になってしまうとサービスを享受する側も「他の店ではみんなやってるのにお宅はやらないの?」というクレームをつける権利があると思うようになり、さらなる過剰サービスをせざるを得ないという悪循環にはならないんだろうか?
コストがかかり過ぎるといずれは販売価格に反映され、結局消費者に跳ね返って来る。
一見価値があるように見えるサービスがサービスにならなくなってしまうのだ。
物販以外のサービスの世界を見ていると、サービスの価値と値段について、全く違う価値観を持って作られているシステムを見る事が出来る。
海外から来て高級ホテルに宿泊しているビジネス客が、ホテルのコンシェルジュにお土産を買うための店を聞いたら、ガイドブックにあるような所ばかり教えられて困惑した、と言っているのを何度か聞いた。
ビジネス客は忙しいから「短時間で家族や友人に喜んでもらえるお土産を買える店」を聞いているんであって、ガイドブックに載っている子供だましの観光客向けのお店を知りたい訳じゃないんだということだろう。
「どこか知らないか?」と聞かれたので、私は自分が行くお店を教えてあげた。
後日お礼を言われ、「コンシェルジュに言ったら『その店は知らなかった』と言うから、ゲストにこういう店を教えるようにリストに加えておいてと言っておいた」と言っていた。
コンシェルジュのサービスとして求められている事を考えろ、ということなんだなぁと思った。
サービスは奥が深い。
何を望まれているのかを考えることが結局お客さんの喜ぶサービスに繋がると思うんだけど、どうなんだろう。