2016年5月9日月曜日
映画「ゴッドファーザー3」を見た
シリーズ三部作1本1本が長かったので、生活上まとまった時間が取れない私は、10分とか5分とか短い時間をマメにつないで見ていった。
それでも、1と2は1日で見た。3は2日かかった。
老けたアル・パチーノは予想通りだったが、この意味はわかった。
あのマイケルがそのまま年をとってこんな明るいゴッドファーザーになるとは思えないが、元々マイケルは明るい青年だったわけだし、合法ビジネスに移行して生きようとしているのだから、暗さより明るさを打ち出すのは理解はできる。
甥のビンセント(アンディ・ガルシア)が、チンピラみたいな青年からドンへと成長していく変化と対比して描かれているので、その辺の入れ替わりが見所でもある。
アンディ・ガルシアは、マイケルの長兄ソニーの遺児、ビンセントを演じていた。
私はこのアンディ・ガルシアのこともあまりよく知らない。キューバ系の俳優さんだそうで、しばしば上半身裸のシーンがあるが、ものすごい胸毛で驚いた。まるで絨毯だ。
今時、プロレスラーでも胸毛は見せない。男性でもつるりとした肌がトレンドだ(多分)。
この映画は1990年の作品なので、今とは若干価値観が違うかもしれないが、もう少し毛量を減らしておいても損はないとは思ったが。(余計なお世話)
「ゴッドファーザー3」と言えば、おそらくこの人抜きには語れないのが、ソフィア・コッポラだ。彼女は監督のフランシス・コッポラのお嬢さんで、本作ではマイケル(アル・パチーノ)の娘のメアリーを演じている。
元々このメアリー役は、ウィノナ・ライダーが演じる予定だったそうだが、急病で降板したため、急遽ソフィア・コッポラが演じることになったらしい。
ソフィア・コッポラは、この「ゴッドファーザー3」でゴールデンラズベリー賞の最低新人賞と最低助演女優賞を受賞し、「ゴッドファーザー3」の大コケの一因を担ったと批判されたそうだ。
噂に違わぬ演技力だった。
名レスラーはホウキやモップ相手でも試合が出来ると言う。俳優もたぶんそれで、相手の演技力がどうであっても演技は出来るのだろう。
アル・パチーノもアンディ・ガルシアも微動だにせず自分の役を演じていた。
ただ、プロが本気で演技している中で一人素人が居ると、ものすごく悪目立ちして、かえってそっちばっかりに目がいく。
メアリーが端役だったらまだ良かったんだろうけど。
もっとも、「ゴッドファーザー3」が前作2つより評判がふるわかなったのは、脚本のせいもあるとは思う。
前2作は不要なセリフが少なく演技で見せていたから名作にふさわしい完成度だったが、3はご都合主義的なセリフが多く、「どうやってこうなったの?」とツッコミを入れたくなる場面もしばしば見られ、B級の匂いを自ら作り出していったことは否めない。
前2作で重要な役を担った弁護士のトム・ヘイゲンも居ない中(ギャラでもめたそうだ)、マーロン・ブランドやロバート・デ・ニーロ並みの俳優も出ず、前2作では下で支えていた幹部のアル・ネリや妹のコニーが衰えたマイケルの補佐をせざるを得ない、という厳しい状況の下で名作を作るのは難しかっただろう。
それでもラスト1時間は見せ場も多く、ドンの強さを持ち始めるビンセント役のアンディ・ガルシアの演技や物語の展開はやはり素晴らしかった。
コッポラが描こうとしたのはこれだったんだと感じた。
ソフィアのかわりにウィノナが出てたら少しはマシになったのか、 マイケルの長男アンソニーの口パクはもうちょっとなんとか出来なかったのか、いろいろなことを思いつつ、3を見終えた。
どうでも良いけど、合法ビジネス組織になったコルリオーネファミリーをビンセントはどうやって引っ張っていったんだろう?というのがちょっと気になったが、4はないわな。
ゴッド・ファーザーPART3 (字幕版)
「マフィアだろ!ポマードはどうした!」とか重箱の隅を突きたがるうるさい性格の人間には、突っ込みどころが多すぎてかえって疲れた。舞台が1970年代なんだけど、ファッションはもろ90年代はじめ頃を取り入れていて、この辺の時代考証の甘さも気になる。全般的に荒い作りだったなぁ。