2016年6月4日土曜日

映画「ミッション・インポッシブル」の1と2を見た


ずいぶん前に友達から「ミッション・インポッシブルが良いから見なよ。トム・クルーズってこんなに格好よかったんだって思うよ」と薦められたことがある。
特別興味もなかったので彼の映画は見たことがなかった。
私が「トム君ってなんかアホっぽい感じがする」と言うと、友達は「そこが良い」と言っていた。
あれから十数年、初めてトム・クルーズの代表作「ミッション・インポッシブル」を見た。
奇しくも劇中の台詞に、トム君を指して「アホっぽい笑顔」という言葉が出て来たので、思うことはみんな同じなんだと驚きつつ親近感が湧いた。




「ミッション・インポッシブル」は1996年、同2は2000年の作品なので、それぞれトム君33歳、37歳の時に出演していた映画だ。

この人は髪の毛を短くすると若く見える。1など20代前半と言っても十分に通用する初々しさだ。
歳のわりに若く見える、と言えばかつてはマイケル・J・フォックスが居たが、今はトム君がその筆頭だろう。


1では、トム・クルーズが演じるイーサン・ハントはあくまでチームの一員で、話の流れの中で活躍するから主役とわかるという程度だが(「キャッツ・アイ」を思わせるアクションは拝める)、2はまさに「トム・クルーズがヒーローを演じる映画」で、彼のために悪役とヒロインが居るというくらい徹底的に「魅せる」作品だ。アクション然り、ストーリー然り。

当然、2の方がトム・クルーズが活躍する場面が多いし、彼の魅力を前面に押し出した作りになっている。謙遜のカケラもないのがむしろ清々しいほどだ。

2のトム君は、1の小学生の野球小僧みたいな雰囲気はかなぐり捨て、髪の毛も伸ばし(整髪料が落ちてしまうとサラサラ・マッシュルームカット)、どことなくホストっぽさも漂わせているが、彼は一流のスパイなのだ。


2の冒頭で奇しくも「ヒーローには悪役が必要だ」と言う台詞が流れ、この言葉は全体の流れにかかって来る大切な言葉なのだけれど、この映画の制作にもこの考え方は貫かれていると思う。

トム・クルーズというヒーローのためには悪役が必要で、悪役が悪いとトム君演じるイーサンが引き立たない。

2でイーサンの敵、ショーンを演じたのはダグレイ・スコットというイギリスの俳優で、彼は憎々しいほどに悪役になり切っていたが、彼が喋るイギリス訛りの英語は静かで美しく品性を感じさせるほどだと思う。

イーサンとショーンの対決シーンはどうしてもハデになるので目立たないが、ショーンはショーンで一人の人間として作られているから、この映画全体が締まって見えるのだろうと思った。


トム君のスタント無しのアクションも素晴らしいが、車やバイクを捨てて素手で戦う試合展開格闘シーンもとても良かった。
プロレスラーのRVDを思わせる(もしくは往年の佐山タイガー)足技が多用され、格闘シーンというよりルチャ・リブレみたいだ。

プロレスでも足技を多用すると見た目が華やかになる。格闘シーンの演出考えた担当者のプロレス愛を強く感じる。(延髄切りも出てくる)


ちなみに1にジャン・レノが出てくるが、今回の彼の敵はネズミであった。相変わらずよくわからない大物俳優である。