2016年6月27日月曜日
映画「ボーン スプレマシー」と「ボーン アルティメイタム」を見た
タイトルが異様に長くて覚えられないが、要は「ボーン アイデンティティ」を1とするシリーズの「ボーン2」と「ボーン3」のことだ。
数字じゃダメなのかなぁ。
「ボーン アイデンティティ」を見たとき、正直言って「あまり好きじゃない」と思った。
マット・デイモンに華がないし、相手役のマリーは可愛いけれどアゴが割れてるのが気になって仕方がないし、頭から終りまで謎だし、「これのどこが良くてシリーズ化されたんだろう」と思っていた。
Amazonでたまたま2と3もタダで見れたのと、他に見るものがなかったからとで、惰性で2と3も見た。
見てみたら、なんとなくヒットの理由がわかった気がした。2はともかく3は良かった。
最初から一つの話を3等分して作るつもりでいたのかな、と思うくらい1→2→3という流れのバランスが良い。
「m:i」のようにハデなアクションがない分、毎回長いカーチェイスがある。このカーチェイスの8割をカットして、他の部分を適当につなげたら、2時間ちょっとくらいの1本の映画になるんじゃないかと思う。もうそれで良いんじゃないかと思うくらい自然な流れだった。(身も蓋もない)
3でCIAのノア・ヴォーゼンを演じているデビット・ストラザーンは「ザ・ファーム 法律事務所」でトム・クルーズのお兄さんを演じていた人だ。
同じく3でCIAのエズラ・クレイマー長官を演じているスコット・グレンは、「レッド・オクトーバーを追え」で潜水艦ダラスのマンキューソ艦長を演じていた。
「ザ・ファーム」は若いトム君の周囲を名優が囲んで演じていたと言われているが、ストラザーンもその名優の一人に入るんだろうなぁと私は勝手に思っている。台詞はとても少ないし、「優秀な弟を持つ囚人」という変な役だけど、悪すぎもせず善人ぶりもせず、愛情と冷めた目の両方を持って弟と接する歳の離れたお兄さんの役を淡々と演じていた。
本作ではボーンを追い詰める役を一手に担っていたが、心の底を見せないヴォーゼンの演技はとても良かった。
「レッドオクトーバー」でラミウス艦長(ショーン・コネリー)と対峙するマンキューソ艦長はとても良い役で、偏見を持たず、さりとて感情的にもならず、状況に柔軟に対処しながらラミウスの亡命を助ける。さすがに「レッドオクトーバー」から20年近く経っているので顔はシワだらけになってしまったが、相変わらずさらりとした存在感のある素晴らしい俳優さんだと思う。
どちらも私の好きな役者さんで、今回は期せずして2人ともボーンを追い詰める側を演じていた。ハリウッドには星の数ほど俳優さんがいると言われているが、同じ役者さんがあちこちに出ている所を見ると、きちんと脇を演じられる俳優さんというのは意外と少ないのかも知れない。
この映画はカメラワークがとても良いというレビューをあちこちで見た。本当にそうで、人の視点を意識した撮り方がとても自然だった。音楽も素晴らしい。どちらかと言うと硬派な感じで、女性好みというより男性好きする作品かもしれない。
ただ、マット・デイモン演じるジェイソン・ボーンを取り巻く女性がみんな最終的にジェイソンの味方になってしまうことと(ありがちなパターン)、トレッドストーン作戦の教育方法がいわゆる洗脳の技術を用いていて、いくら極秘作戦とは言え今時こんな非人間的な教育技術が本当に通るのかどうか疑問、という不自然さはあった。
後者はよくわからないが(意外と原始的な方法は健在かも知れないし)、前者に関しては「そうしないと納まりがつかない」ということで納得することにした。
4はマット・デイモンは出なかったそうだが、5はまた彼が主演してこの夏公開だそうだ。Amazonで出たらまた見よう。