2016年4月8日金曜日
壁に耳有り
現在巷を賑わしている政治家の一人の事務所が、よく通る道の途中にある。
一つの事務所を複数人で使用し、選挙になると合同選挙事務所みたいな感じになるから、誰の関係者がどうというのはよくわからない。
ただ、最近の報道を見ていて、私が選挙中に事務所の前を通った時に「?」と思ったことを思い出した。
些細なことではあるんだけど、小さいことって結講大事だったりする。
周囲にお店が連なる区画にあるその事務所は、人通りの多い賑やかな場所にある。
私が通ったのは、夜の八時前後だったと思う。
運動員や支援者は、たいていお揃いの上着を着ているから、人通りが多くても事務所の関係の人なんだなということはわかる。
名前の入ったポスターや大看板がズラズラ並べられた事務所にはたくさんの人が詰めていて、一日の活動の疲れを癒すべくお茶を飲み反省しながら談笑している 、ように見えた。
ふと見ると事務所の前で、候補者の名前の入った上着を着た人が一人立って電話で何やら喋っていた。
車の陰に隠れていたし、夜だし、どんな人なのか様子はよくわからない。
ただとにかく声が大きかったので、離れた距離でも話し声がはっきり聞こえて来た。
聞くともなしに聞いていたら、叱責中のようだった。
詳しいことは勿論わからないが、候補者や選挙運動とは無関係な、個人的な内容なのは想像がついた。
電話の向こうの自分の部下らしき人にかなり大きな声で叱責していて、「あなたが職を失おうが知ったことではない」「店長の監督責任はあなたにある。私はあなたに任せて出て来たんだから、首になろうがどうだろうがあなたがしっかりやるべきだ」等々、穏やかならぬ内容だった。
電話をしている人は、事務所の人に聞かれないように外で喋ったんだろうが、外を歩く通行人は、今日一日自分達が支持を訴えて来た先の有権者だっていうことを忘れてるんだなぁと思って見ていた。
おそらくこの叱責もこの人個人のことで、選挙そのものとは無関係なんだと思うけど、候補者の名前が入った上着を着て、選挙事務所の前で怒鳴りつけていたら、事務所の中の空気はどれだけ殺伐としてるんだろうという印象を抱かせかねない。
候補者にとって運動員は「お手伝いしてくださるボランティア様」なのかもしれないが、一般人にとっては事務所の顔なのだ。
少なくとも、私はそう思った。
私のおせっかいな心配と詮索とは無関係に、その選挙ではめでたく当選されたようで何よりだったが、すっかり忘れた頃に、報道でその時の候補者の名前を目にした。
ネット上で「ガソリンプリンセス」の呼び名をほしいままにしていた。
壁に耳有り障子に目あり。
「あの事務所の主ならばやりかねん」と思われないように、ご用心を。
家政婦は見た! DVD-BOX1
エリート家庭にはだいたい何かあるのよ。