2016年4月29日金曜日

ボーリーマッセ


私の友達のM美は社交的だ。
あちこちに飲み仲間がいて、楽しい宴のときを過している。

この前も、知り合いのシェフから「たまには顔を見せに来て下さい」とメールが来たので、男性の友人2人を誘って食べに行ったそうだ。



当日M美は仕事があったので、友人2人に先に行っていてもらい、自分も後から合流したらしい。
行った時にはお料理のお皿が二つ並んでいたので、彼女も2〜3杯お酒を注文し、お皿に残っていた料理を食べて(M美は小食だ)小一時間過したそうだ。

さて、お会計の段になって、金額を聞くと全員分で「2万5千円」だと言う。

「高っ!」と思ったが、途中参加だったので、先発組がたくさん食べたのかも知れないからと、とりあえず自分の分の5千円を払い、後は2人が1万円ずつ払って店を出た。

外に出るなり、連れの2人に「何食べたんや」と詰め寄ったら、「料理はあの二皿だけ」と言われたらしい。
「ワインのボトルでも開けたん?」と聞くと「グラスワインだった」と言う。

納得の行かない彼女は、2人に注文内容を全部思い出させたが、どう聞いても2万5千円は高いと思ったそうだ。
「あの皿の肉の上にキャビアでものっとったんちゃうか。私が行く前にキャビア食べられとったんかい。そうでなけやな考えられん」と怒っていた。


私もそのお店には行った事があるし、親しくはないがオーナーシェフのX氏も知っている。
X氏一人でやってるお店である上に、氏は調理にこだわりが強すぎて料理がなかなか出て来ないから、必然的にたくさん注文が出来ない。
 私が行った時も、M美とお料理をシェアして「おやつ並み」の量を食べ、ドリンクを数杯頼んだだけだが8千円したので「結講するな」と思った覚えがある。


私の住む都市には大きな繁華街があって、高級なお店が並ぶ区画は家賃も高く、「唐揚げ3個一皿800円」とか信じられない値段が当り前ということもあるのだが、氏の店はそこから少し外れた庶民的なお店の並ぶ地域なのでびっくりするような値段はまずない。

多分ぼられたんだろう、という結論になったが、あまり後味の良い話ではなかったらしく「しばらくは行かん」と怒っていた。


M美に言わせると、お店にもよるが、こういうことは時々あるそうで、「揚げ出し豆腐一皿とビール2杯で3千円取られた事もある」と言っていた。

M美は黙って払って来るが、黙っていない人も勿論居て(同業者に多い)、「どこかのスナックのママが『明細書見せなさい』と詰め寄っていたのを見たこともある」と言っていた。


売り上げの悪い時には多少多く取りたいというのはあるんだろうが、どんなに味が良くても、一度やられると足は遠のく。

実際、私の知ってるお店でも評判の良い所ではそういう噂は聞かない。
むしろお客さんの少ない時に行くと「来てくれてありがとうね」とサービスしてくれるくらいだ。

考え方の違いだけど、長い目で見たら、ぼっても良い事はないだろうにと思う。


私とM美の間では、明らかに料金設定が高すぎる店(いわゆる、ぼるお店)は一律に「ボーリーマッセ」(=ぼりまっせ)と呼んでいる。
X氏のお店もボーリーマッセ認定をしてあげた。

あーあ。