2016年4月20日水曜日
ミュージカル俳優さん
相変わらずAmazonのプライムビデオでファントムを見ている。
ふと興味がわいて、主演の俳優さんのスナップ写真をネットで見てみた。
当り前のことながら、舞台を降りたミュージカル俳優さんは、ごく普通の人だった。
舞台に上がると別人になる、そのギャップがすごい。
私の知り合いにミュージカルの専門劇場で長い間舞台に立っている俳優さんがいる。
英語名だとピーターになるその人と初めてあったのは、7年くらい前。
仕事場近くの某所でほぼ毎日のように見かけていて、観光客かなと思って見ていた。
ある時、ちょっとしたことを尋ねられたので話をしてみた。
以来、来日のたびに顔を見せてくれる友達になった。
ピーターさんはミュージカルの舞台歴が長いが、元々は普通の俳優さんだ。
若い頃は主役もやっていたようだけど、60を越えた今は老け役が多いらしい。
そうは言っても、スタイルは抜群で後ろから見たら20代のモデルさんだ。
欧米人はぽっちゃり体型が多いから、スタイルを保つべく相当鍛えているんだろうと思う。
ピーターさんが日本に来るのは研修のためだ。
彼の国では、俳優の協会に入っていると、一年おきに行きたい国に行かせてもらえるそうで、滞在する二週間は、毎日のようにミュージカルや演劇、歌舞伎、能と様々な舞台を見ている。
私が聞いた時は、今日は広島、明日は大阪、その次は東京で、翌日は京都、という感じのスケジュールで、文字通り演劇を追いかけて飛び回っていた。
芝居の合間合間に街を散策したり、居酒屋に行ったりするそうで、日本に滞在している間に撮った写真を何枚も見せてくれた。
日本語はまったく話せないのに、いかにも地元向けという感じの店に平気で入って行くらしく、お店の常連さんらしきおっさんたちと一緒にカウンターに座り、ニコニコしながら郷土料理を食べている写真。
下校途中の小学生が何人か笑顔でポーズを撮ってる写真。
犬の散歩をしているお年寄りがはにかんだ笑顔でこちらを見ている写真。
どこかの大学の映画研究会が自主制作映画を撮影している様子を写した写真。(台本の表紙に書かれた映画のタイトル「メイド刑事」を指差し、私に「これはどういう意味の日本語なんだ?」と聞いて来た。「メイドはa maid、刑事はa detectiveだよ。意味はねぇ、たぶん…」と困っていたら「わかった!」と言っていた。ヘタな日本人よりよほど察しが良い。)
あちこちでいろんな人達と仲良くなるようで、日本語が話せず全部ジェスチャーという中でよくここまで笑顔を引出せるなぁと感心した。
ピーターさんは気配りの人でもある。
お世話になったからとホテルのフロントにプレゼントをわたすし、小さなプレゼントをいくつか持ち歩いていて、何か手助けをしてくれた人に「どうもありがとう」と言ってわたす。
その場にいる全ての人の存在や動きを把握しているな、と思うこともしばしばある。
背中に目が付いていて、人の動きを察知していないとああいう振る舞いは出来ないと思うことを普通にやっている。
その場にいる人全てが自分に注目するように、気配りと笑顔で空気をコントロールしている。
俳優は人の注目を自分に集める人達の集りなんだろうなぁと思う。
それが仕事でもあるわけだ。
ミュージカル俳優はいつも歌やダンスの練習をしていると思い込んでいたが、ミュージカル俳優である以前に彼等は俳優で、常に人を見、人から学び、演じることに結びつけているんだとピーターさんを見て思った。
尋常じゃないくらいスタイルが良いことと、どことなく雰囲気が垢抜けていること以外は、ごく普通の人で、いつも気さくでニコニコしている。
最初に会った時「職業は俳優だよ」と言われたけど、私はまったく信じていなかった。
こんな普通な俳優はいないと思ったからだ。
彼が帰国した後、何気なくwikiで名前を検索したら、彼の国のwikiに載っていて本当だったんだと驚いた。
観客として見ていると、役とその役を演じた俳優が、ごちゃまぜになることがしばしばある。
でもそれは間違いで、役と素の俳優はまるで別物だ。
当り前のことだけど、混同してしまうことは意外と多いんじゃないかと思う。
俳優は魅力的に見えるように役を演じる。
役が良いと、素の俳優の素朴さに驚くこともある。
でも本当は、そのギャップが大きいほど、俳優の力量が大きいということなのかもしれない。
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もはやメイドはワールドワイドか。このドレスはメンズだそうだ。世の中乱れてる。