2016年7月1日金曜日

映画「特捜部Q 檻の中の女」を見た




特捜部Q 檻の中の女(字幕版)
これを見た。ジャケットだけだともう何が何だかわからない。



「特捜部Q」というタイトルがいかにも面白くなさそうな雰囲気を醸し出している。楽しくはないが丁寧に作られた映画だ。


殺人課のワガママ刑事カールが部下2人をそれぞれ殉職&寝たきりに巻き込んでしまったので、閑職である書類整理部「特捜部Q」に押し込まれ、ふてくされながら気になった未解決事件を勝手に捜査し、解決にたどり着くというお話である。

話の流れだけ聞くとありがちなパターンだと思うけど、ハリウッド映画ではなくデンマークの映画なのでそこは簡単にはいかない。
事件の必然性とか動機とか色々理由があってのことなんだろうが、こうも面倒な背景がないとこの事件は起きないのかと思うくらい救いがなくて暗い。


カールを演じたニコライ・リー・カースという俳優さんは「ダ・ヴィンチ・コード」の続編の「天使と悪魔」でバチカンの聖職者を拉致し殺して行く殺し屋を演じていた人だ。
「天使と悪魔」ではメガネをかけ、英語を話していたから全然わからなかった。
端役の割には存在感のある人だなぁと思って見ていたが、デンマークでは主役級の俳優さんだった。


カールの頑固さやワガママさをやんわりと受け止め、物事に前向きに取り組むシリア系デンマーク人のアサドが、この映画の中で唯一の救いだ。

世の中のいろんな流れで「ムスリム=テロリスト」みたいな印象が強くなってしまっているが、今まで私が接してきた数少ないムスリムはだいたいこんな感じの明るい人達だった。
マレーシアの女の子たちは私の学生の頃と同じようにキャピキャピしてたし、アラブのビジネスマンのおじさんたちは冗談ばっかり言ってたし、ニューヨークで乗ったタクシーの運転手さんなど私がニューヨークで会った人達の中で一番フレンドリーだった。

デンマークの中でムスリムの移民たちがどういう位置づけをされているのか詳しいことはわからないが、少なくとも「ムスリム=テロリスト」というアホな思い込みだけで見られていないことだけは確かなようだ。
癒し系刑事のアサドを見るだけでもこの映画は価値がある。(暗いけど)


この映画の続編の邦題は「特捜部Q キジ殺し」だ。
檻とか殺しとか殺伐としたタイトルが続くが、デンマークでは大ヒットシリーズなんだそうだ。
見たいような見たくないような。