2016年7月3日日曜日
映画「RONIN」を見た
RONIN (字幕版)
これを見た。
映画の冒頭に「Roninとはなんぞや」という説明が出てくる。
日本語の「浪人」をそのままローマ字で置き換えたもので、この映画に出てくる謎の男たち(デ・ニーロとかジャン・レノとか)が正式な職を離れ一匹狼で危険な仕事を請け負う状態が「浪人のようである」ということらしい。
広辞苑によれば「浪人」とは「中世〜近世、主家を去り封禄を失った武士。浪士。」「職を失うこと。また、その者」とあるから平たく言えば「武士階級の失業者」だ。
その「浪人」のどこに美学を見出したのかは、映画の中盤に出てくるジャン・ピエールという謎の金持ちが教えてくれるから、その内容は映画を見ていただくとして、私が突っ込みたいのはジャン・ピエールが作っていたジオラマだ。
彼は趣味で日本の武士の討ち入りの様子の模型を作っている。
巨大なルーペを使って丁寧に色を塗っている様はとてもリアルだし、模型の舞台になってる屋敷や庭もそれらしい感じがよく出ている。
ジャン・ピエールの説明によれば、それは「四十七士の討ち入り」なんだそうだ。
四十七士と言えば「赤穂浪士」だ。
彼の説明する「四十七士」の話は微妙に「赤穂浪士」とは違うが、それもまぁドラマを盛り上げるためなのだろうから仕様がない。
それより何より気になるのは武士がかぶっている兜である。
どう見ても源平期の兜で、まるっきり五月人形である。
「赤穂浪士の大石内蔵助は火事兜で、あとは鉢巻き」とつっこみたかったが、欧米人の考える兜は「サムライヘルメット」だそうだから兜は源平華やかなりし頃のハデな形でなければならず、そうでないと感じが出ないのだろう。
この作品はカーチェイスのリアリティを追求するために高速で走る車にも俳優を同乗させたというくらいだそうなので(Wikiによる)、せっかく日本の文化を取りあげそれを主題にするのならば、文化的な背景や時代考証をきちんと確認してくれれば良かったのになぁと少し残念に思った。
カーチェイスに関して少し触れたが、リアリティを追求し画像処理を施さない映像を見ると、本当のカーチェイスはこんなふうなんだ、とよくわかる。とても良い映像だと思う。
ドライバーが真剣な表情で小刻みにハンドルを動かしていて、実際に高速で障害物をよけながら走るとこんな感じになるんだろう。
音もその車種の走行音を別撮りしてかぶせたそうで、意外と軽いモーターみたいな高い音なんだな、とか勉強になった。
以前、何かで「車のエンジン音 」という音源を聞いた事がある。
これはベンツとかこれはポルシェとか、有名なメーカーの車のエンジン音の違いがわかるというものだった。
「エンジン音だけ聞いて何の意味があるんだろう?」と不思議に思ったが、マニアックな世界ではこういうものに価値があるらしい。
私にはわからないので「これは男のロマンなんだ」と思うことにした。
謎の男とか謎の組織とか、最後まで正体を明かさないで終った人達が多いので、見終わったとき「それで結局あなた誰?」と思ったが、この映画はそれで良いみたいだ。
物に関しては必要以上にマニアック、人間に関してはぼかしまくり、というのがOKならばそれなりに楽しめる映画だと思う。