2016年8月7日日曜日

映画「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」を見た



「宇宙人ポール」で主演したサイモン・ペグとニック・フロストのコンビが、イギリスの警察官を演じている映画。何でも良いけどタイトルが長い。
「俺たちスーパーポリスメン!」が付けたければ原題の「ホット・ファズ」は割愛しても良いんじゃないかと思うんだけど、どうなんだろう?




私にとってサイモン・ペグは「m:i」のベンジー・ダンなので、どうしてもアメリカ人の頭で見てしまうが、彼はイギリス人だ。そのイギリス人魂を見せるべく、この映画ではスコットランド・ヤードで活躍する優秀な警察官を演じている。
あまりにも優秀すぎてまわりから疎まれ田舎に左遷、左遷先でもまた疎まれ、疎まれながらとんでもない真実を見付けてしまうというお話だ。

サイモン・ペグが演じたニコラスは、優秀なだけにくそ真面目で、仕事とプライベートの区切りが付けられない。
そのニコラスを批判せず、優しく受け入れる同僚ダニーは、「宇宙人ポール」でもしょっちゅうゲイと間違えられるほど仲良しな友達を演じたニック・フロストだ。


私の昔の英語の先生(ニュージーランド人)がちょうどこのニコラスみたいな性格で、とても真面目とにかく真面目。メル・ギブソン似のラガーマンだったけど、誰がどんな冗談を言ってもニコリともせず、「外人は陽気」という勝手なイメージを簡単にぶちこわされた思い出がある。

いつも仏頂面でガンガン議論をふっかけてくるので、授業中はひたすら恐くて膝が震えるほどだったが(へたれ)、授業を離れると笑顔で話してくれたから、悪い人ではなかったんだろう。

ただ仏頂面が恐かったので私は必死で勉強し、どんなに恐い顔で議論をふっかけられてもへこたれない図太さは身につけた。

生真面目な人はええ加減な人間には迷惑ではあるけれど、真剣に関わると周囲は伸びるものだ。


「ホット・ファズ」は前半は異常にテンポが良くて、作った人達の頭の良さを沸々と感じさせる内容だったけど、後半は若干だれ気味でクライマックスは相当だれていた。

展開のだれっぷりに反比例して、だれている所ほど音楽が良いという不思議な傾向を持つエログロナンセンス映画。イギリス人の訳のわからなさを味わうにはぴったりだと思う。

ニコラスが左遷された先の田舎町サンドフォードは何度もビレッジ・オブ・ザ・イヤーに選ばれたほどの模範的な村で、住民はみな親切で仲良く暮らしていることになっている。
田舎町の親切心は否定しないけど、表面の礼儀ただしさの裏で舌を出すしたたかさも「良くある話」だから、そう云う意味でのイギリス的ブラックユーモアもまさにその通りという感じがする。

アメリカの映画のようなハデさはないが、イギリス人の小ぶりで緻密な作品作りを味わうにはぴったりの作品だと思う。