2016年9月8日木曜日

映画「ミッドナイト・ラン」を見た



賞金稼ぎと賞金首の中年男2人が、FBIとギャングと別の賞金稼ぎに追われながらアメリカ大陸を横断するという、呑気なロードムービー。
ロゴの古臭さが好きになれなくてずっと見たことがなかったが、見てみたらとても良い映画だった。



この前「続夕陽のガンマン」を見て、ちょっと前のアメリカはひたすら砂漠が続くすごい土地だったんだなぁと思っていた。

そう言えば「ゴッドファーザー2」で、「モー・グリーンが砂漠の中に街を作った。それがラスベガスだ」というような台詞があった。

アメリカは一度しか行った事がないし、それもニューヨークをウロウロしてただけだから、砂漠は見たことがない。
でも、映画に出てくるアメリカは、ひたすら続く砂漠だの畑だので、だだっ広い空間が広がり、ガス欠が恐いような一本道がどこまでも続いている。

昔少し英語を教わった先生がアリゾナのフェニックスに住んでいた。「東海岸の人達は、ニューヨークの隣はカリフォルニアだと思ってるのよね」と言っていた。確かにアリゾナと言われても「はて?」という感じなのだけど、「ミッドナイト・ラン」ではアリゾナの渓谷の景色がたくさん出てくる。ごつごつした茶色い岩肌が見える山と、乾燥した地域特有の植物たちが写り込んでいて、それがとてもいい感じなのだ。

この映画の中でも賞金稼ぎのジャック(ロバート・デニーロ)と賞金首のデューク(チャールズ・グローディン)が貨物車に乗ってそんなワイルドなアメリカを横断していく。


賞金首の会計士デュークは、雇い主であるマフィアのお金を横領し寄付したと言う変わり者で、犯罪者とは言ってもいわゆる凶悪犯ではないから、なんとなく旅往きものんびりしている。

デュークはジャックの生活習慣から物言い、考え方、将来設計まであれこれ忠告して嫌がられるが、善意の忠告なのでジャックも嫌いになりきれない。

ロバート・デニーロはこの映画を「気に入っている映画」と言ってるそうだが(wikiによる)、彼は本当にこの映画の中でのびのびとジャックを演じている。

デュークを演じたチャールズ・グローディンはコメディアンだそうで、演技の幅がとても広い。シリアスにも出来るし、シリアスに見せてもどこか笑いを誘う振る舞いも上手い。

この映画自体、登場人物の個性が確立しているのでどの場面を見ても面白く、バランスが良い。
何となく「見ていて楽しい映画」なので、ついつい三回も見てしまった。


この前見た「ナチョ・リブレ 覆面の神様」という映画はメキシコが舞台で(修道士が孤児院の子供たちのために覆面レスラーになるというメキシコ版タイガーマスク)、アリゾナのような乾燥した地域の景色がわんさか出て来て、それがなんとも魅力的に見えた。

緑豊かな日本に住み、緑豊かな地域に暮らす身としては贅沢ながらもかのカラカラに乾いた大地とニョキニョキ生えるサボテン、茶褐色の岩肌の山という光景にどうも惹かれてしまう。

街は街で良いけれど、広いアメリカ大陸には違った表情の景色がある。
見てみたいなぁ、行ってみたいなぁという旅心を刺激される秀逸なロードムービーだった。