2016年9月11日日曜日

映画「マーズ・アタック」を見た





マーズ・アタック いかにもB級なデザイン

友好的でない火星人が地球にやって来るSFパニック映画「マーズ・アタック」を見た。
B級の香り高い作りだけれど、あくまでもB級っぽくしてあるだけで、かなり洗練された映画だと思う。




この映画はプロの評論家の間では「C級以下」という評価もされていたようだが(wikiによる)本当のC級の破壊力はこんなものではない。見た後の脱力感、見なければ良かったという後悔、時間とエネルギーを無駄にした自分への苛立ち等々、C級鑑賞は極めてリスキーな行為だ。

「マーズ・アタック」なぞ俳優陣が上手いのでそれだけでも疲れないし、「有り得ない」設定だってかわいいものだ。悪趣味に見せてるけど実はセンスもいいし、20年経った今でも時代を感じさせない。
ジャック・ニコルソンの怪演を見るだけでも十分に価値がある。
故にアマチュア観賞家の私の評価では「C級ではない」。


エイリアンに関する噂や映画を見るたびにいつも思うし以前書いたこともあるが、私は「エイリアンの存在の有無や可能性は否定しないが、『いかにも人間みたいに振る舞う』『人間みたいな姿形をしている』という思い込みはどうかと思う」という意見を持っている。
バクテリアみたいな存在かも知れないし、私達が見たこともない形状かも知れない。

作られた物は共感を得なければならず、演出の必要性故に行き着いたものが、私達が映像で見る「例のアレ」な訳だから、言ってもも詮無い話なのだけれど、この映画はその「得なければならない共感」を逆手に取って作られている。火星人が宇宙船の中で赤いパンツ一丁とか。偉い人はマント着用とか。

「いや、まぁね」というレベルなので、それ故に「C級」とか言われてしまうのかも知れない。本気で作ったらどうなるか、知りたい所だ。


オバカ映画なわりに極めて豪華な俳優陣が出演していて、最近はあまり見なくなったマイケル・J・フォックスとか、大きくなったルーカス・ハース(「目撃者」で少年の役をやった人)、大昔のジャック・ブラック(「スクール・オブ・ロック」ではじけた先生やってた人)とか、随所に面白い俳優さんが出ている。
しかも主役級の俳優さんが遠慮なく殺されていく。有名人がゲスト出演でバンバン出まくった「オースティン・パワーズ ゴールドメンバー」を思い出す。
こういう、出ている人達が楽しんでいるという雰囲気が観客に伝わっている映画は良い。生身の人間とCGで作り出された火星人の力のバランスが悪いと見た後に疲れてしまうけど、バランスが良いので純粋に楽しめた。


アメリカの大統領を演じるジャック・ニコルソンが「地球を防衛するアメリカ軍」みたいな台詞を言っていて、これは皮肉なのか、どう解釈するべきか、しばし考えた。

「それはどうもありがとう」で良いんかな。